地域への愛/絹織物の「石鹸」製法からスタート
「坊っちゃん石鹸」の歴史は、約100年前にさかのぼります。創業者が、絹織物を洗う石鹸をつくる修行を始めたのです。絹織物の布地は傷みやすく、石鹸成分が残れば黄ばんでしまうことから、繊細な使いごこちの石鹸づくりを習得していきました。
そして、「東北石けん」という会社を起こし、絹織物の高級石鹸の製造・販売に踏み切りました。大正12年(1923年)のことです。
当時、身体を洗う石鹸は粗悪品が多かったことから、「この製法をもとに肌に優しい石鹸をつくり、地域の皆さんに喜んでもらいたい」と、創業者は思い立ちました。地域の人々を愛する心に奮いたち、さらに製法の開発に取り組んだのです。
子どもへの愛/「坊っちゃん石鹸」マークの誕生
ようやく製法を完成し、「釜出し一番」(釜で炊いた石鹸素地の、一番いい部分だけ取り出す)という名称で石鹸を売りだしました。食用になる牛脂とヤシ油(ココナッツオイル)を原材料に、界面活性剤なども使わず、しかも着色料や酸化防止剤なども添加することなく製造された無添加石鹸は、「肌荒れがなくしっとりする」と評判を集めました。素肌を思いやる愛がカタチになったのです。また、「食器洗いや洗濯にも使えて、汚れ落ちがいい」と評価を高めていったのです。
石鹸づくりに励む創業者に、長男が誕生しました。一つひとつ丁寧につくりこむ石鹸づくりは子育ての親心に通じるものがあり、今度は本当に父親になった喜びはひとしおでした。すこやかな成長を願って、長男の顔を思わせるマークを採用し「坊っちゃん石鹸」と名づけました。
石鹸への愛/いい石鹸の灯を絶やさず継承
いい石鹸の名声を高めながら、二代目も堅実に製造・販売を続けてきました。しかし、後継者がなく工場も老朽化して、廃業せざるを得なくなりました。
この状況に驚き、ここ宮城・仙台にその灯を消さずに商標・製造技術を継承していこうと立ち上がったのが、畑惣商店でした。社長が幼少の頃から「坊っちゃん石鹸」を使い、ずっとファンだったのです。そして、平成20年(2008年)に商標・製造技術とともに創業精神も受け継ぎました。「純粋無添加石鹸を誠実につくることで、お肌のトラブルに困っている方の役に立ちたい」をモットーに、石鹸づくりの日々を重ね、現在に至っています。
こうして、素肌への思いやり、子どもへの親心、社会、ふるさとに役立ちたい心、石鹸づくりの愛など、「坊っちゃん石鹸」は様々な愛が歴史をきざみ、今は愛用者の皆さまに支えられて研鑽を続けております。